梅雨と言われるこの時期、つかの間の晴れは外回りの仕事にとって、大変貴重な時間。
そして毎年必ず来てしまう「梅雨」なのだが、前線のちょっとした動きによって雨になるかどうかが変わるので、なかなか予定が立てにくいのです。
しかし、梅雨以外の時期は大丈夫なのかと言えば、昨年などは8月のお盆休みに始まり、ずっと雨が続いていたこともあり、もう神のみぞ知ると言った方が良いのかもしれません(笑)
さて、そんな梅雨時なので、なかなか予定が決まらずご迷惑をお掛けしていた屋根修理のお宅、本日から工事に入ることができました。
今回のお宅は、瓦屋根のお宅での雨漏り修理なのですが、主には谷樋に問題があり、雨漏りの原因となっています。
この谷樋とは・・・
瓦屋根の形状により屋根の上につくられる谷間となる部分に入れられるのが谷樋と言い、瓦とは異なる部材で水を受けて排水する樋(とい)の役割を果たしています。
そして古いお宅の多くは、この谷樋の素材に銅版が使用されています。
この銅版は、昔は一生モノと言う認識もあり、谷樋に限らず、建物のあちらこちらの部位に使われることもあるものです。
しかし近年(近年とは言いながら、もう10年以上前から銅版を使用した場合の劣化が問題となっているので、とても近年とは言えないのかも知れませんが・・・・・)、一生モノと考えられていた銅版の耐久性に、思いもよらない弊害が続発し始め、銅版の劣化によるトラブルも多発するようになりました。
これは、昔はあまり見られなかったような銅版自体が腐食をしてしまう現象や、そもそも柔らかい素材であるが故の劣化などが原因により、谷樋に穴があいてしまう事で雨漏りにつながってしまう事象なのです。
今回のケースもまさに「それ」なんですが、ただちょっと問題があるのは、以前、どこかの人が「雨漏り修理」(?)をするためにシリコンシーリング(コーキング)をあちらこちらに塗り付けてみたり、谷樋に防水材を塗ってみたり、さらには一部に防水シートらしきモノを無理やり入れてみたりと、やってほしくない事のオンパレードだったということ・・・・・。
お施主様からすれば、せっかくやったのに、何も変わらないか、もしくは前より悪くなってしまうとは、夢にも思わないだろうが、そんな非現実的な愚作が行われてしまっていたのです。
なので、シリコンにカッターを挿し込んでみると、なかに止められてしまっていた雨水が流れ出してくるのです。
カッターを挿し込んだぐらいで、こんなに雨水が出てくるのですから、中に入っている雨水の量は・・・・・。
実際のところ、既存の谷樋を撤去してみれば、しっかりと雨水が浸入した形跡があるので、まさに教科書的な事例かもしれません。
そして、屋根からおろした銅版を見ると、実際の状態がより判ると思います。
瓦から雨滴が落下した部分が「滝つぼ」のような感じで削られしまう事で、丸い模様のように色が違うことが判ります。
そして色が違う部分を目の前で見ると
穴があいていることがよく判ります。
このようなことが雨漏りの原因となるのですが、実際のところ、谷樋に銅版を使われているお宅の総数と言ったら、相当な数でしょうが、必ずしも雨漏りをしているかと言えば、実はそうでも無いとは思います。
ただその違いとは、下地の防水シートに助けられているどうかしか無いのですから、ある意味、防水シートの重要性もよく判るというものです。
とは言え、ここだけが原因の時もあれば、周辺が大きな問題となっているケースもあり、雨漏りの原因は、そのお宅によってもさまざまなので、今回のお宅のようなケースに捉われてもいけないのが建物に向き合うための秘訣。
雨漏りとは、建物と向き合ってさまざまな角度から固定観念を持たずに観察することが基本であり、それが出来ないと、思い込みで大きな間違いを犯す場合も出てきますので、十分な知識が必要なものなのです。
もちろん、修理となればさらに多くの対策を考えて実行する必要がありますので、このように簡単そうにブログに書いてはいますが、実はなかなか難しいもの。
だからこそ、難しいからこそ、日々雨漏りに挑戦し続けているのですが・・・。