防水とは、屋上やベランダに施工するもの、外壁に施工するものなど、多くの種類が存在しています。
施工される部位、そこに関わる素材、求められる強度や機能など、これらによって選択が変わるのですが、全てに共通することが一つだけ、それは「水を浸入させないための連続面を作る(水を溜めることが出来る膜・層の連続性を有する)」という事があります。
※溜めることが出来るだけで、全てが長期間という意味ではない
この連続性があってこそ、雨水から建物を保護できるのですが、目的はシンプルでありつつ、有機物を用いた素材だけに、自然の力を大きく受ける中、とても過酷な要求をされる部位であると言っても、過言では無いと思います。
- 1.シーリング(コーキング)
- 2.ウレタン・FRPなどの塗膜防水
- 3.塩化ビニール系・合成ゴム系シートなどを用いるシート防水
などが挙げられますが、これら防水も、新築などでの新規施工と、改修工事での施工には、工程に大きな隔たりがあります。
それらは、下地の状態により、向き不向き、適材適所が存在するのです。
シーリングとは、歯磨き粉のような粘度の防水材を、外壁の継ぎ目、ひび割れ部分などに充填するものです。
そして下地の素材、収縮の度合いによって、使う材料、性質が変わってきます。
- 1.シリコン
ガラス・水槽に用いられ、耐候性に優れる反面、周辺への汚染がある
- 2.変性シリコン
一般に外壁の継ぎ目などに用いられ、耐候性がある
- 3.ウレタン
防水下地など、紫外線の影響を受けない部位へ用いられる、耐候性は無い
- 4.ポリサルファイド
ウレタン系ではあるが、露出しているタイル目地や、コンクリート目地に用いられて
きた、耐候性がある
下地の収縮によりシーリング材自体に掛かる負荷について、引っ張られる力を緩和させる度合いを表す表記があり、それを「モジュラス」と言います。
- 1.高モジュラス=引っ張り応力が強い
- 2.中モジュラス=引っ張り応力は普通
- 3.低モジュラス=引っ張り応力が弱い
この引っ張り応力とは、下地の収縮によって引っ張られる力に対し、戻ろうとする力の強さを表します。
なので、収縮などの動きが無い「ガラス」などは高モジュラスを用い、「窯業サイディング」など、乾燥収縮が大きな素材においては低モジュラスを用いるのです。
- 1.ウレタン防水
ウレタン樹脂の液体を防水する面に流し、均一な防水の膜を作るものです。
コンクリート下地など、下地のひび割れを防水に伝えたくないような場合、柔軟性を
必要とする場合に用いられます。
- 2.FRP防水
不飽和ポリエステル樹脂の液体をガラス繊維に含浸させるように塗布し、均一な防水
の膜を作るものです。
ウレタン防水に比べて硬くなるのが特徴であり、耐摩耗性に優れることから、住宅の
ベランダなどに数多く採用されている防水です。
- 1.塩化ビニール系シート防水
塩化ビニールのシートを用いた防水であり、シート同士を溶着させ、重ね合わせシート
を一体化させる方法を取るため、シート状の防水の中でも、素材特性だけでなく、
耐候性を期待できる防水材です。
- 2.合成ゴム系シート防水
比較的低コストの防水として採用されるもので、黒い合成ゴムのシートを用いた防水で
あり、シート同士は、両面テープ、接着剤を用いて一体化させる方法を取るが、
紫外線に影響され、シートが縮んでしまうと剥がれやすくなるため、5年ごとにトップ
コート塗布することで、紫外線から保護する必要があります。
下地に密着させることで一体化させる方法であり、下地が乾燥している健全な状態であれば、この工法を採用することが出来ます。
通気性を持つシートを張り、その上に塗膜防水を塗布する工法で、シートの下で蒸気となった水分を、脱気筒を用いて逃がすことの出来る、改修工事で採用される工法です。
鋼板やビスなどを用いて、面ではなく、多くの点で、機械的に固定する方法であり、改修工事で多く採用される工法です。
それぞれの防水材、それぞれの工法は、下地の素材、状態により、向き不向きが存在するため、一概にどの防水・工法が優れているというようには分けることが出来ませんが、それぞれの特徴を踏まえ、最適な防水工事を提案するのも、プロとしての責任なのです。