慌ただしく変化する天気に、外仕事が多い弊社のようなところは、天気の状況に右往左往することも多いのだが、今年は例年になく予定が立てにくい、工期が読みにくい状況が続いています。
それを言い訳にするのも・・・とは思いつつ、前回のブログ更新から、随分と時間だけが経過してしまいました。
しかし、この間も天気に悩まされつつも現場は稼働し、多くの現場に関わらせていただいております。
さてそんな中、最近お邪魔したお宅は、屋根からの雨漏りであると思われるお宅。
今回のお宅は、お客様自身が雨漏りに気がついたのは、納戸となっている部屋に入った際、何気なく見上げた天井にシミがあり、雨漏りに気がついたとのことでした。
そこで、窓からデジカメを持った手を伸ばし、できるかぎりの屋根状況を撮影してみたり、押入れから天井裏を覗き、雨漏りの様子を確認したりと、お客様自身で、できる限りの調査を行い、その情報とともにご連絡いただきました。
お客様からの情報では、現状の写真として屋根の側面や天井裏を撮影したものがあり、状況の把握には十分な材料となりました。
また、当然のことながら、いつ漏ったのか?、どのぐらい漏ったのか?、使われている素材や築年数など、細かな情報もありましたので、メールのご相談の段階で、こちらの雨漏りの原因は屋根であると断定できたのです。
正直な話、メールのやり取り1回で、屋根状況が手に取るように判ったので、実際にはピインポイントの部分など見えていないにも関わらず、頭の中には雨水が建物に浸入する様子がはっきりと浮かびました。
それはもう、これで十分に診断に至るような画が浮かんでしまうのですから、その情報量は言うまでもありません。
もちろん、私どもも長年数多くの雨漏り修理をさせていただいておりますし、それ以上に、16年ほど前から、ネットを通じて日本中から数多くの雨漏り相談を受けてきていますので、これらの経験においても、十分に推測する力は持っていると自負してますが、それでもお客様からの情報に勝るものは無いのです。
なにしろ、生の現場を目撃しているのですからね。
そして実際にお邪魔し、屋根に登ってみると案の定、頭の中に浮かんだ状況が目の前にありました。
これは瓦屋根であり、中央にあるのは銅版の谷樋。
そしてお約束のように、銅版に腐食のサインとなる、変色が確認できます。
瓦屋根の場合、谷の部分に昔は銅版が用いられることがほとんどでした。
銅版の加工性の良さと、耐久性が高いと信じられていたことが使用の根拠なのですが、近年・・・・・(というか、すでに10年以上前から銅版に腐食で穴があく事象はたくさん確認されていましたし、交換も数多く行ってきています)、多くの外的要因から銅版の腐食が起こってしまうことで、上の写真のように、穴があいてしまうのです。
この外的要因とは・・・、ここで書くと化学の授業のようになってしまいますので、あえて書く事はしませんが、興味のあるお客様であれば、ご説明はどんどんさせていただきます(笑)
などと穴があいてしまう部分は谷樋になる部分、ようするに谷間であり、雨水が集中する場所なのですから、言うまでもなく雨水が建物内に浸入するところになるのです。
ただし、屋根の仕組みとしては、1次防水であり、表面仕上げ材である瓦などと、その下には2次防水となる防水シートを用いられるのがセオリーですから、穴があいたから、すぐさま雨漏りにつながるのかと言えば、実はそうとは言えないのです。
この仕組みが雨仕舞というもので、雨水対策の一つなのですが、雨漏りをするということは、そこに劣化や不備などがあると言うことが考えられるというわけです。
まあ言うまでも無いことですし、そういう意味では一見、簡単な事例とも言えますが、実は雨仕舞を含めた要因というは、それこそベースとなる知識があってこそ判るものなので、こちらのお宅でも、修理としてやるべきことは一つではないのです。
さて、なんだか抽象的な表現ばかりになってしまいましたが、実はこれ、ネットという簡単に情報収集ができる今の時代、間違って伝わってしまうことを懸念してのこと。
いくら私どもが一生懸命に文章を書いたところで、受け手にベースとなる知識が無い状態ですと、全然違う理解に繋がってしまうこともあるのですから、それを考えると、勘違いやトラブルを避ける意味でも、あまり詳細に書くべきでは無いだろうと思うのです。
もちろん、よそでのトラブルは私には全く関係無い話ではありますが、お客様がへんな被害にあわないように考えると、情報発信とともに抑制も、私どもの使命の一つだと考えるからなのです。
そして私どもの本当の仕事は、この雨漏りを完全に治すことなので、理論をしっかりと説明しつつ、技術をつぎ込むだけなのですが・・・・・。