今月は連載記事はお休みとなりましたが、「軒ゼロ」での雨漏りのリスクについての特集について相談をうけまして、協力させていただきました。
今回の特集記事のタイトルは「それでもやる?軒ゼロ住宅」と題し、軒ゼロ建物でおきたトラブル事例の紹介や、雨仕舞の注意点の解説をしています。
さらに識者の意見として、私の雨仕舞の学術的分野での師匠(勝手に思っているだけですが)である、雨仕舞の仕組みの著者でもある石川廣三先生の解説と、NPO法人雨漏り診断士協会大阪支部長であり、住まいの雨仕舞をはじめとして写真マンガでわかると題した建築技術者向けの書籍の著者である玉水新吾氏の解説が入り、とても充実した号となっていると思います。
それだけ軒ゼロ住宅はリスクが高く、トラブル事例も多い証拠なのですが、一方で、都市部では敷地の制限が大きく、軒を出せないケースも多いでしょうし、建築するお客様自身においては、軒が出ていようが無かろうが、自分の家で雨漏りが起こるなど考えもしないのは当然のことで、そのうえで様々なデザインを希望するのだと思います。
だからこそ、建物に関わる側がリスクを十分に認識したうえで、雨仕舞を考え、実行していけば、大きなトラブルには至らない筈なのだと考えています。
雨漏りが起きれば、当然のことながら住まい手は大きなストレスを抱えることとなります。
そして建築会社への怒りも日に日に増していく事が容易に想像できますし、事実、このようなトラブル事例が大きく発展し、係争となってしまったケースでの相談も数多くいただきます。
このようなトラブルに至らないように、建物と真摯に向き合うためにも、日ごろから雨仕舞のリスクを意識した仕事が重要だと思っています。