昨日記したブロック塀の塗装についての中で、「5回、6回と塗り重ねて」「厚みをつけると言う方法」と書いている。
そもそも、塗膜が膨れてしまっていた事でご相談頂いた今回の現場、厚みをつけると言う事が、リスクにならないのか、疑問に思うかもしれないのだが・・・・・。
この塗膜膨れの原因は、ブロック塀という巣穴だらけ(=給水率の非常に高い素材)に対して、下地処理がうまくいっていない事と、透湿性のほとんど無い塗料を用いた事。
下地処理とは、平滑な状態をつくらずに、無理やり模様付けを行おうとした事が一つの原因と考えられるのだが、少なく塗料と下地の密着力を確保すべき処理も、行われていたかどうかも判らないような状態であった・・・・・。
今回の場合、旧塗膜を全面剥離すべく、手作業による弾性塗膜の剥離作業を経て、その下から顔をのぞかせた旧塗膜の手作業での剥離、残った塗膜に対しての、剥離剤を用いての剥離作業、そしてディスクグラインダーによる研磨作業、さらに高圧洗浄による剥離剤の洗浄と残存塗膜の剥離誘発作業、最後にもう一度、手作業による剥離。
もう同じような文字が羅列されただけの事になってしまうのだが、その中身とは、とにかく諦める事無く繰り返すという事だけなのです・・・・・。
そして旧塗膜剥離という下地処理を終えたブロック塀に次に行ったのは、剥離作業によって傷がついた表面を平滑にするためと、最終的に僅かに残った旧塗膜(最終的に除去できなかったもの)の影響を無くすために、セメント系の下地調整材を鏝塗りしたのです。
このセメント系下地調整材とは、無機質なものであり、有機物の起こしてしまう膨れなどの変化を封じるための対策のもの。
ブロック塀など、積んだ際にある凸凹を平滑にしたり、巣穴を埋めるためにも使用される材料なのです。
さしてココからが本題で、模様付けなど、塗料によって厚みをつける段階。
ココで厚みをつけるのに、弾性塗膜を用いる、膨れというトラブルにつながるので、出来たら薄膜にしたい・・・・・では、振出に戻ってしまう。
そこで、透湿性の高い塗料を選択しているのだが、有機系塗料では、やはり膨れというリスクがが気になるので、ここでもセメント系の塗料を用いているのです。
このセメント系の塗料は、下地からのクラックなどがあれば、塗膜が割れてしまうという、塗装面の弾力性は期待できないだが、模様を付けようと考えた場合、もっとも安全性が高い塗料と考えられているのです。
もちろん、厚みを付けずに済むのであれば、リスクはどんどん低くなるのだが、それなら別にブロックそのままでも良いだろう・・・・・。
と言う事で、厚みと膨れの関係性を遠ざけるため、そして十分な下地処理。
プロとしてお客様から対価を頂く以上、これらの事はすべてが当たり前の事なのだが、それら当たり前を知らなかったり、やるべき事を無視する人によって、今回のような塗膜膨れというトラブルが起きてしまうのです。
但し今回、剥離作業について要した時間は、完全に予想を超えてしまったのは間違いなく、私としては「見積失敗したな・・・・・」と言うのが感想なのですが(苦笑)。