昨日現場確認にお伺いしたお宅は、外壁にクラック(ひび割れ)が入っているというご相談を受けたもの。
外壁の塗膜にクラックが入ると言う事は、いくつかの可能性が考えられるわけだが、まずは外壁素材の違いよって、原因となるものが推測できるのだが、どちらにしろ、まずは様子を確認することからのスタート。
現場到着し、様子を確認すると、外壁サイディングの目地部分であった。
その目地部分の上に塗られた塗材に、クラックが走ったようになっていたのです。
この原因は、外壁に使用されたサイディングの目地部分に充填されるシーリング(コーキング)の痩せや、建物の動きに起因することが多いのですが、今回の場合も、この部分は2階まで通し柱が入る部分。
平屋であったり、建物の中で加重が掛かりにくい部分であれば、比較的クラックは入りにくいのだが、やはり一番加重が掛かりやすい部位であったのです。
また、今回のケースはもうひとつの要因があるのだが、このクラックが入る部分などには、大壁工法にように、下地である外壁の目地を、塗材で埋めてしまっていることが大きいのです。
そもそも建物というものは、ある程度の動きを生じながら、外力を受け流しているもの。
この外力とは、地震などを含めた地盤の動き、そして台風などを含めた風の力による動き。
これら外力をそのまま受けてしまうと、建物に大きな力が掛かるのですが、石積みの建物などと比較し、木造の建物などは、木のしなりなどによって、その力を吸収するという側面もあるのです。
だからこそ、古くからある木造建築の神社仏閣など、木の力を最大限に利用しながら、何百年という歳月を過ごしてきているのだと思うのです・・・・。
ちょっと話が逸れてしまったが、このように考えると、建物というものは、動きが生じて然りのものと考えられる。
その動きを緩衝する役割を担う部分に、硬いものを被せて動かないように見せると言うのは、大変難しいことと言えるのです。
なので、大壁工法を採用するには、動きのある目地の上に、弾性のパテを塗り、その中にクラックとなりにくいようにガラス繊維の目地テープを練りこむのです。
今回のケースの場合、そのような工程はなされていない事、そして塗膜の劣化にともなって硬化していく事で、下地からの動きに耐えられなくなり、クラックが入るという仕組みなのです。
さらにシーリングの痩せが重なることで、背もたれが無くなった椅子にように、下地が無い塗膜は不安定なものとなるため、クラックが入りやすいと言う事なるのです。
ただし今回の場合、お客様の最大の関心ごとは、「クラックによって雨漏りをするのではないか」というもの。
クラック部分へ「ヘラ」を入れてみても、目を凝らして覗いて見ても、どうやらシーリング自体はしっかりとしているようなので、雨水浸入の可能性は低いと考えられるので、その旨説明したのです。
この根拠としては、築年数と、紫外線の影響を受けにくい状態であるシーリング上の塗膜の存在もあるため。
これにて、お客様も安心してくださったようで、まずはひと段落。
クラックにおいて危機感を煽るのではなく、その原因と状態を十分に把握し、現状を正確に伝えることが、プロとしての責務なのですから・・・・・。
2010年11月26日はまぞうブログより記事移動